Welcome to SWAN 2001 Homepage

啄木転々
 
 
さいはての駅に下り立ち
雪あかり
さびしき町にあゆみ入りにき
 


二月の釧路
 
 

 釧路時代の啄木とは? 例えば明治41年2月20日(この日は啄木の誕生日でもあります)の日記。「…余勢を駆って、鶤寅(しゃもとら=料亭)へ進撃、ぽんたの顔を一寸見て一時半帰る。室に入って見ると、誰かしら寝て居る者がある。見るとそれは沢田天峯君であった。…」と啄木は書きます。久しぶりに訪ねてきた小樽時代の友、沢田君。「なつかしいものだ、友達といふものは。洋燈の光に友の寝顔を見つつ眠る。」

 じつは、これは大ウソ。沢田側の証言では、啄木の部屋は調度品もなにもない八畳間。ランプを載せた小机と硯箱、インクの瓶が一つあるだけで、書籍は一冊もなかった。ほとんど本も読まなかったのであろう。部屋でいくら待っても啄木は帰って来ず、朝八時頃になってようやく現れた。芸者と遊んでいたのだと照れながら話した…となる。いやー、釧路時代の啄木は不思議な面白さ!

 

 
 
沢田天峯