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![]() 十二月の小樽 |
明治40年12月11日、啄木は小樽日報社を無断欠勤し札幌に向かいます。札幌で中西代議士が起こす新新聞に鞍替えしようとしたのでした。小樽に帰ってきたのは翌12日の夕方。啄木はその足で小樽日報社に立ち寄ります。そこに待っていたのが事務長の小林寅吉でした。案の定、寅吉と口論になります。そして…「小林寅吉と争論し、腕力を揮はる。退社を決し、沢田君を訪ふて語る」(12月12日日記)と相成るわけです。 哀しき啄木の人生! この件に関してだけは、私は啄木に同情的です。小樽の街には寅吉みたいな人間が醸し出す臭みが少しだけあると私も思う。 みぞれ降る 石狩の野の汽車に読みし ツルゲエネフの物語かな (一握の砂) |