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啄木転々
 
 
馬鈴薯の花咲く頃と
なれりけり
君もこの花を好きたまふらむ
 


八月の函館
 
 

 八月といえば、誰もが思い出すのはあの明治40年8月25日の函館大火。青柳町に新居をかまえてひと月も経っていない啄木一家に運命は情け容赦なく襲いかかります。「学校も新聞社も皆やけぬ」(25日啄木日記) 自宅こそ焼けなかったものの、この大火は啄木から弥生尋常小学校の代用教員の職も、函館日々新聞社の遊軍記者の職も奪ってしまいました。

 楽しかった函館の生活。「此夏予は生れて初めて水泳を習ひたり、大森浜の海水浴は誠に愉快なりき…」。そんな函館を後にして、九月、啄木は札幌に向かうことになります。短い夏でした。

 

 
 
函館日々新聞社