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かなしきは小樽の町よ
歌ふことなき人人の
声の荒さよ
 
 



八月の札幌 (一)
 
 

 昭和39年8月18日、北海道銀行本店が大通西4丁目1番地に落成。店舗は1〜2階吹き抜け、壁面の三方が総ガラス張り。そして、残る壁面に、本郷新、山内壮夫、佐藤忠良の協同制作になるレリーフ「大地」というデラックス。まさに札幌野外彫刻群の聖地です。私の場合は。

1.北海道の産業をテーマにした長さ41メートルの長大なレリーフは、その規模と素材、北海道ゆかりの著名な彫刻家3名の協同制作という手法など、いずれもユニークなもので、来店する顧客はもとより、ガラス越しに外部からも見通せる“隠れたアート”して、市民の目を楽しませている。(中略)
4.構想から構図の決定までに5・6ケ月を要した後、佐藤氏が10分の1に縮小した下絵を作成、粘土彫刻の協同作業はこれを基にして本郷氏のアトリエで行われた。レリーフは規模と重量を考慮して、約1メートル四方のポリエステル樹脂板93枚に分割して仕上げたもので、重量は銅の約13分の1と軽量ながら、ブロンズそのままの堅さと質感を持っている。
(北海道銀行資料室作成の解説より)

 札幌駅地下に降りる階段にかかっていた栗谷川健一「きたぐにの詩」。田上義也設計の北一条教会。市民会館前の山内壮夫「希望」… 若い日の想い出はいろいろ。それらが、このレリーフ「大地」の前に立つと一気に吹き出してくる。なんとも切ないなぁ。

 本郷新記念札幌彫刻美術館HP

 「4つの星−札幌二中の彫刻家たち」展、よかったです。そして、そこで思いもかけぬものを発見。なんと、美術館ロビーでドキュメンタリー映像「三人の手」を上映していたんです!

 「三人の手」は、北海道の産業をテーマにしたこのレリーフ《大地》の共同制作のプロセスを記録した貴重な映像です。展覧会と合わせてぜひご覧ください。(映像提供:北海道銀行/上映時間:約22分)
(展覧会チラシ)

 へぇーっ、こんな映像があったんだ… 4人の作品ばかりではなく、ロダンやマイヨールの作品まで見られる幸福に加えて、こんな嬉しいおまけまで付くなんて! なんという贅沢だろうか。モデルさんに合わせてレリーフの肉付きを少しずつ変えて行く佐藤忠良の手に見惚れてしまいました。三人とも、もくもく煙草吹かして作業する姿に懐かしい「1964年」を感じましたよ。
 
 
 すっかり本郷新彫刻美術館のファンクラブです。記念館で「泉」胸部像の解説読んでいたら、意外な人に遭遇。大通公園の「泉」像が、札幌の、この手の彫刻群の第一号なんですが、なんとこのアイデアを出した人、竹鶴政孝だったんですね。あの、ニッカの竹鶴。この「泉」の出来栄えがあまりに良く評判を呼んで、以後、市内に続々と彫刻は増えて行って、現在の札幌に至るというわけですが。いやー、竹鶴、凄いじゃないか。