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かなしきは小樽の町よ
歌ふことなき人人の
声の荒さよ
 
 



五月の札幌
 
 

今日、 「札幌空襲」から 一週間がたった。
死者 四万七千八百三十七人 行方不明者 六万六千三百二十七人
自衛隊戦闘機 8機墜落。
国籍不明 爆撃機 14機墜落。
護衛戦闘機 3機墜落。
いずれも 市内に墜ちた。
爆撃機とかの 墜落のまきぞえで、 亡くなった人の数は どのくらいになるか、 見当はつかない。
そのすべては ちせが墜とした。
(高橋しん「最終兵器彼女」)

 2006年に公開された実写映画版。これ、全然客が入らず、あっという間に打ち切られ、二週間後に映画館に行った時にはもう終わっていたという、幻の「小樽」B級フィルムです。これを観ていないので、あまりデカいことはいえないが、原作のマンガを読んだ限りでは、ゴールデンウィークあたりの「札幌空襲」に思えますね。小樽の高校生が札幌に買物に出るんだから。

 北海道小樽市(市名についてはあえて言及していない)で暮らすシュウジとちせ。ちせは以前から好意を持っていたシュウジに度胸試しとして告白、そのぎこちない交際は交換日記から始まった。そんなある日、謎の敵に札幌市が空襲される。攻撃から逃げるシュウジが見た物、それは腕を巨大な武器に変え、背から鋼鉄の羽根を生やした兵器と化して敵と戦うちせの姿であった。
(ウィキペディア)

 マンガ「最終兵器彼女」全7巻の中でも、敵の軍隊がその姿をあらわすシーンは非常に少ない。この「札幌空襲」が最初で最後みたいなものではないだろうか。なにせ、敵の名前も正体も明かされない、戦争が始まった原因もわからない、なぜ「ちせ」が最終兵器に改造されたのかもわからない。もう、シュウジとちせのラブ・ストーリイの背景にどうして「戦争」があるのかまったく意味不明なんだけど、なぜか「ちせ(彼女)」が「最終兵器」であるという仰天の接着剤ひとつで物語をつなげてしまう。いやー、たまげた技。マンガチック。ビューティフル。(←死語)

 とかなんとか言いながら、じつは私、けっこうこのマンガ、好きなんですね。小樽のなにげない風物とか、小樽人の心理をかなり正確に描き込んでいて微笑ましい。特に、第一巻のラスト、小樽駅前の電話ボックスから電話をかけるシュウジの頭上を兵器と化したちせが出動して行くシーンには、ちょっと目がうるうるしましたね。

 このマンガのどこに心惹かれるのか、ここんとこぶつぶつ考えていたんだけど、ある日突然気がついたんですね。これって、平成の「愛と死をみつめて」なんじゃないのかな…って。彼女の避けられない運命、それを見つめている僕の愛と苦悩という構造が。