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かなしきは小樽の町よ
歌ふことなき人人の
声の荒さよ
 
 



七月の小樽 (二)
 
 
 

 七月二十九日。
 わたしは父と母に連れられて、虹の会のメンバーたちと、長い時間をかけてベラルーシからやってくる子どもたちを空港で待っていた。
 夜の八時すぎの新千歳空港は人影もまばらだ。
 ――ようこそ、ベラルーシのみなさん
   北海道はみんなを待っていたよ!!
(名木田恵子「レネット 金色の林檎」)

 何も知らないうちに[チェルノブイリ]事故は起こり、大地も川も森も汚染されてしまった。強制的に村を追いだされても、にげ場所さえない人たち。どこもかしこも汚染されているのだ。
 せめて、子どもたちには病魔をねじふせる抵抗力を体につけてほしい。
 森下さんたち虹の会は、そんな熱い思いから発足したのだ。
 けれど、わたしの父や母には、森下さんたちのような純粋な思いはないだろう。自分たちのために、里親になることを申しでたのではないか。
(同書)

 林檎(レネット)が隠し味ならば、やはり舞台は「余市」しかないだろう。(ガルトネルの、千の風の「七飯」というのも、ちょっと思いついたのだが…) 読んでいて、幸田露伴でも野口雨情でもない余市というものに、とてもフレッシュなものを感じました。古くは違星北斗や左川ちか、最近なら椎名誠とか、余市は時折り大技をかましますね。大好きです。