三月七日


 

 今日は記者月例会、早く締切つて富士屋にゆく。会する者十一吊、月番幹事の永戸が一番殺風景で、一番遅く来た甲斐君が一番愛嬌を振巻いた。席上、記者倶楽部建設(予算三千円)の件を決議。旋網漁業組合から一千円出させるといふ軍略。それから趣意発表を兼ねて資金造成の演劇会をやる事も決し、其下相談として、九時頃から花輪君、古川君、衣川と四人鶤寅亭に飲んだ。

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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