三月六日


 

 夜、北東の小泉奇峰君と語る。朝に四合、夕に四合、酒がなければ生きて居られぬといふ男で、常に都の空を慕うて居る。男らしい、邪気のない、少しも隔てのない男だ。

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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