二月二十六日


 

 自分の対北東策は着々として成功して行く。誠に心地がよい。

 朝起きて和賀君からの手紙と岩崎君のハガキ、社に行つて松坂君の手紙。帰つて来て向井君の旭川出張先からのうれしい手紙と、昨日打電して置いたに対する宮崎郁雨君からの三十五円の電報為替を受取つた。友の厚意は何と謝する辞もない。

 小南衣川泔水三子に誘はれて、鹿嶋屋に行つた。今日はオゴラセられた。市ちやんの踊。

 十一時頃、小南泔水と鶤寅へ進撃、すぐかへる。

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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