二月二十五日


 

 社から帰ると夕飯、詞壇の歌をかいて居るところへ横山君が来た。晦日には愈々此下宿へ来るといふ。一緒に出掛けて、鶤寅へ行つたが、室がないとの事で仕方なく、或る蕎麦屋へ行つた。小奴へ手紙やつて面白い返事をとる。

 一時頃まで喰つて飲んで、出かけると途中で変な男に出会した。跡をつけて見たが二時間許り、時間を空費したに過ぎなかつた。

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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