二月二十三日


 

 今日は日曜日。秋浜融三君が来るか来るかと待つたが、遂に来なかつた。岩手の小笠原迷宮君から珍らしく久振の手紙が来た。

 夕方、林君が来て、晩餐を共にした。

 夜、南畝氏を訪うたが留守。タイムス支社の太田君を訪うて十時頃話す。誠に角のとれた人で、十二になる娘のきくちやんは可愛い児である。

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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