二月二十二日


 

 一行と共に日景君も今朝七時旭川に向けて出立した。出社すると函館の西堀秋潮君から絵葉書が来て居た。

 小奴が佐藤君を今朝訪ねて、何か僕の事を云つたとかで、少し油をとられて大笑ひ。四時に締切る。

 今夜は、二十日に初号を出した実業調査会機関の“釧路実業新報”創刊祝で、南畝氏の招待をうけ、同人と共に六時鶤寅に行つた。北東からは西嶋社長と花輪君、タイムス支社の太田君、北海旭の甲斐君、外に神稲葉君らで、小蝶に小奴に春吉、小奴のカツポレは見事であつた。

 釧路へ来てから今夜程酔うた事はなかつた。十時半景気よく送出されて帰宿、その儘枕についた。

 此日社から今月分俸給二十五円受取つた。

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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