二月五日


 

 午後四時、斧を揮つて編輯を〆切り、帰る。せつ子から金受取つたといふ手紙が来て居た。

 飯を喰ふ時、今日社で逢つた日報の小林の顔が目にちらついた。白石氏を訪問したが留守。昨夜認めた堀合の父や向井君や、斎藤大硯本田荊南君らへの手紙を投函した。

 此数日、気候は余程緩んで居るが、今夜帰りにはチラチラ白いものが降り出した。釧路に来て初めての雪である。

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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