二月四日


 

 今暁四時浦見町釧路見番附近に失火あり、全焼十六戸半焼一戸に及ぶ。九時に起きて聞いてビツクリ。

 日景主筆が正午から帰宅したので、大分急がしい目を見た。佐藤も上杉もまるで役に立たぬ。これで新聞記者とは驚いたものだ。七時帰る。

 野辺地の父から手紙来た。小樽から、四十日間一銭も送金せぬといふ手紙行つたとて大に心配して居る。誠に上将な事を云つてやつたもので、一月中に十五円、再昨日の十八円で三十三円、外に建具を売つた筈だから、一ケ月に四十円以上も使つて居るではないか。後日のため厳重な手紙出す。

 玉山の舅、及び札幌の向井君へも手紙認めた。

 少しく風邪の気味。

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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