十二月二十五日


 

 中世史を読む。

 予は予の個人解放の時代に至つて世界の発達は其第一期の完整を終るといふ観念によりて、史上一切の事物を評論したる世界史を著はさゞるべからず。

 夜、沢田君来り快談数刻、談中、デゲセウ先生及び暴風雨の夜に酒をのむ中村君の話を小説中の人物と思へり。

 君、白石社長の意を伝へて、予を釧路新聞に入れむとす。予は社長にして予の条件を容れなば話せむと答へたり。

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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