十月十八日


 

 この日早朝事務の窪田、畑山の二君に起さる、出社して終日雑務を執る。

 午后野口君他の諸君に伴はれて来り謝罪したり。其状愊むに堪へたり、許すことにす。

 夜、西村君より野葡萄のよく熟したるもの十房貰ふ、其味に故園の秋を忍ぶ、

 梁川先生の遺弟建部氏より故人の遺稿編成のため、生前の手紙貸与方依頼され、古手紙を整理して封書二通葉書八葉を得、郵送す、

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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