一天朗らかに晴れて風なく、心気爽々たり、
小樽日報初号発刊の日、
正午の頃に至りて刷上れり、凡て十八頁、楽隊を先立てゝ市中の配達は景気よく終れり、
午后五時より社主中村定三郎氏より招待されて一同静養軒に祝宴を張る。七時半、職工一同楽隊と共に提灯行列を初め、静養軒前に来て万歳を連呼す、我等飛び出して共に提灯ふりかざし市中を練り歩けり
市中の景気大によし、
※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人