九月二十四日 (秋季皇霊祭)


 

 朝小樽なるせつ子へ来札見合すべき電報を打てり。北門新報社に於ける予の後任としては、西堀秋潮君の推薦にかゝる新詩社々友園田愛緑君と内定したり。

 この日より予が「梁川氏を弔ふ《の文北門に出づ、三回にて了る筈。

 午後小栗君来る。

 夜 向井君の室にて大に宗教を論じ虚無を論じたり。予は予の意志二面観に出立する哲学を以て最高の思想と断定せり。予は他の人々の頭脳の何故明晰ならざるかを怪しまざるをえず、

 


※テキスト/石川啄木全集・第5巻(筑摩書房 昭和53年) 入力/新谷保人

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