二一四 九月二十八日小樽より 建部政治宛


 

拝啓

梁川先生御他界の事は、小生の如き御生前御同情を忝うしたる者にとりては何と申上る辞もなく偏へに哀悼の情に上堪所に御座候、(さき)には御永眠の御通知を賜はりこの度また鄭重なる御挨拶に接し深く御礼申上侯

  九月二十八日            石川啄木拝

 建部政治様 御侍史

二白、小生事札幌北門新報に入りて僅かに二週日、この度当地に於て来月十五日より新たに生るべぎ小樽日報を野口雨情君らと共に経営する事と相成昨夜札幌より到着仕候、別封北門新報三葉上躾乍ら御手許に差上候

 


※テキスト/石川啄木全集・第7巻(筑摩書房 昭和54年) 入力/新谷保人

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