四九七 四月二十八日渋民村より 畠山亨宛


 

米長氏の方失敗に終わり、其他も矢張ダメ、一昨日四方へ手紙とばしたれども、其返事未だ来らず、尤もこれは遠方故、猶二三日の間あらんと存候、

老兄が生のために御尽し下され候ふ御厚志は何とも感謝の辞なし、米は今夜つきたり、明朝は粥。

出した手紙どれかかれか物になるべく候に付、この文御落手次第一円か二円頼む、どうぞ、

来客中故要件だけ、乱筆御めん

  四月二十八日夜

                       啄木

 東川老兄御待史

 


※テキスト/石川啄木全集・第7巻(筑摩書房 昭和54年) 入力/新谷保人

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