コクワ取り
 
違星 北斗
 

 たった独で山奥に入る。淋しいが独は気持がよい。私は常に他人に相槌を打つ癖がある。厭なのだが仕方がない、性分なのだから。けれども独になった時は、相槌を打つ様な厭な気苦労から逃れて気楽になる。
 だから淋しい中にも一人になった時は嬉しい。
 コクワなんかどうでもよいのだ。
 
 
 
 

   底本:北海道文学全集 第11巻
    立風書房
    1980(昭和55)年11月10日初版

 

  入力:新谷保人
  2004年3月31日公開