釧路行
Northern songs 2003年3月14日号
 
新谷保人
 

 何故か、とてつもなく泥臭い「北海道」がやりたくなった。まるで二十年前の観光絵葉書のような。
 だから、札幌でも良かった。今でも、目を凝らして良く見つめれば、私は札幌のどこそこにでも、古くさい懐かしい北国の街を見つけることができる。

 でも、今はやりたくない。札幌も、小樽も。

 数日の不在。あと半年もしたら、なにもかもが明らかになるようなことでしかないから。あの時、誰が何を考えどう動いたのか、あと半年も時間が経てば、みんなばれてしまうことではあるから。
 だから、今、釧路にいる。幣舞(ぬさまい)橋の上を行ったり来たり。この、狭い街の一角を行ったり来たりして俺は生きるのか…というため息ともつかない想い。三月の青春。