Northern songs
 
2000年7月15日号 (復刊No.2)
 
あっという間に、もう7月…
サロベツ原野に咲き乱れていたエゾカンゾウの群落を思い出す。

 
 
速報!「道の駅」2000 第2回
 

 久しぶりに朝3時の小樽スタートを敢行しました。近場のスタンプがほぼ終了しつつあります。ここからは、夜が明けたら朝一番でダッシュ・スタート、「道の駅」の開店時刻を頭にたたき込んだ上で、もっとも効率の良いコースを走って小樽に帰ってくる、いつものスタンプ・ラリーの世界になりますね。夏至の北海道ならではの荒技です。
 今回の道北編が、その長距離シリーズの第1弾になるのかな。旭川あたりに住んでいるスタンパー(笑、こういう業界用語も、もうHPでは定着している)だと、このコースにプラスしてオホーツク側の並びも一日でゲットできるみたいですけどね。なかなか札幌・小樽あたりのスタンパーでは難しい。
 でも、私らが簡単にゲットできる後志や道南のスタンプが、旭川や帯広のスタンパーには夏の一大課題ですからね。以前、旭川の人が作った道央・道南コースを見せてもらったことがことがありますけれど、ちょっと私らでは考えつかないコースでした。せっかく道南方面に出てきたのだから…と、微妙に宿泊するところとか好みでズレたりします。スタンプ以外でも、どうしてもここだけは行きたいとか、そういう場所が少しずつ入ってきますから。結果、なかなか私らではやらないであろう不思議なコースができあがります。
 でも、それぞれ、地域的なハンディや個人の好みがあった方が断然おもしろいですからね。他人のコースを見せてもらうのも大好きです。私の「しりべしラウンド」みたいに、スタンパーたちって、巡礼にあたっては、ほんとに自分にしかわからない(であろう)いろんなセレモニーやルールがあるもんだなぁ…ってビックリします。必ず赴かねばならない「聖地」とかね。ここではこのアイテムとか。

 

6月24日(土)
55.森と湖の里ほろかない→5.ぴふか→12.おといねっぷ→32.ピンネシリ→54.さるふつ公園→P宗谷岬灯台→O稚内灯台→8.富士見→N金比羅岬灯台→50.ほっと・はぼろ→27.おびら鰊番屋


 原則的には、小樽発→小樽着の「日帰り」です。せっかく道北に行ったのにもったいない…という声もあるけれど、いいんです、ちゃんと大好きなサロベツの海岸線は時速120で2往復もしたし、「富士見」でデラックスな食事もしたし。
 道北・長距離で、まず「さるふつ」をめざすのは、ほんとに個人的な好み以外の何ものでもないですね。ここの道の駅の手前が海岸線になっていて、オホーツク海の寒々しい、けれど、日本海みたいに演歌っぽくはない海が広がっています。ここに「インディギルカ号遭難者慰霊碑」が建っています。「インディギルカ号」というのはソ連の客船なのですが、それが、昭和14年12月(寒そう…)に猿払村沖合で座礁しました。村民総出で救助にあたり約400人を救出したものの、じつに700人以上ものの乗客の命が失われるという海難史上に残る大惨事ですが、この時の、国境をこえた猿払村民の助け合いの精神をきっかけで、ここに日ソ友好記念館も建っています。
 宗谷から網走・知床方面に抜けるオホーツク海は、ほとんどがハマナスが寂しく咲いているような人気のない(夏でも海水浴風景なんか見たことがない)砂浜の海岸線です。でも、このあたりだけは、船が座礁するくらいですから、ちょっと岩場の海岸線になっているんですね。なんか、この、荒涼とした風景が私は大好きで、去年なんかは、ここで車中泊して、朝の3時から海岸線を行ったり来たりしたりしていました。前の晩にサロベツで風呂(豊富温泉)に入ったのに、また朝飯・朝風呂のためだけに戻って、さらにまた「インディギルカ号」に戻ってくるとか、地元の人から見たらおよそアホな動きで一人で盛り上がっていましたです。
 今回は、さすがに、コースに「灯台」という初めての要素が入ってきましたから、早め早めに次のスタンプにまわることを心がけて、あまり去年のような馬鹿騒ぎはありませんでした。
 宗谷岬に向かう途中の港町でちょうど夏祭りやっていて、おもしろかったなぁ。港に停泊している漁船は、お祭り期間中は、必ず自分ちの大漁旗と日の丸を飾るのね。港中に旗がはためいて、そして、沿道の民家は、必ず玄関のガラス戸にお祭りの造花を、なんていえばいいのかなぁ、花束みたいな形に貼り付けてあるのね。型が決められてるみたいで、どこの家の玄関も同じ形に造花を飾っている。
 宗谷から稚内市に向かう道が晴れていたのは今回が初めて。いつも曇り空の街みたいな印象がある稚内市ですけど、今回は快晴でしたね。「FMわっぴー」を聴きながら稚内に向かっていると、「おっ!」となりました。「おっ!富士山…」なんです。利尻島の利尻富士が、静岡県民にとっての富士山みたいな勢いで、稚内市民の生活の背後にはあったんですね。うーん、すばらしいじゃないか。
 稚内灯台のある野寒布岬をまわってサロベツ原野に下りて行く。稚内市あたりで昼だったので何か食べておきたかったのだけど、行く道の、思い出のあの店この店、みーんな潰れたり休業中なの。不況というか、過疎というか、なんか深刻ですね。結局、岬のおみやげもの屋さんみたいなところで、ホタテとカニが入った「これが北海道だ!」とドンブリ全体が主張しているようなうるさいラーメンを食べてしまったよ。ホントに、今回の唯一の汚点。知性を疑うよなぁ…

 

7月8日(土)
7「望羊中山」→33「フォーレスト276大滝」→39「そうべつサムズ」→47「みたら室蘭」→Fチキウ岬灯台


 6月末から7月にかけては仕事がつまっていたので、土日は朝寝坊が多かった。それでも、なんとなく車で動いておかないとスタンプ・ラリーのカンが狂うから…という理由で、グズグズ昼前に出発したのが、この7月8日のコース。
 「そうべつサムズ」のある壮瞥町というのは、今、噴火している有珠山のある虻田町や伊達市の隣町です。壮瞥町にも、「昭和新山」という、昔の有珠山みたいな山がありますけれど。
 なんか、新聞とかテレビのニュースだけ見ていると「有珠山」だけが噴火しているような感じになりません? でも、実際は全然ちがうんです。壮瞥町に入って行くと、もう町中に硫黄の匂いが漂っています。「昭和新山」もミシミシと白煙を滲み出しています。いつ、爆発してもおかしくないくらいのスタンバイ状態。途中の畑にも人気はないし、土曜の昼なのに道路を行き交う車もあまりない。かわりに、ひっきりなしに自衛隊のトラックとすれちがったりして、かなり戒厳令下みたいな感じです。「そうべつサムズ」の裏手の町民グランドがあった場所にはびっしり仮設住宅が建っていました。こんな時に「あのー、道の駅スタンプの…」とか言うと、「この非国民野郎!」とか殴られそうですね。
 事実、殴られても仕方がないようなスタンパーも目にしました。駐車場も無視して、入り口の真ん前にスポーツカーを止め、スタンプ押したらサッサと鼻を押さえて(見るからに「こんな臭い町、早く離れたい!」といった感じね)出ていった茶髪のアベックとか。駅に入ってくるなり、「この漬け物がおいしいのよ!」と騒いで棚の品物を全部カゴに入れ、一人で何冊スタンプ帳持っていたのだろう、「これは誰の分…」とか騒ぎながらスタンプ台を長時間占領していた札幌のオバサンたちとか。
 温泉や自然水のブームもそうだけど、「どさんこワイド」(TV)なんかで知って集まってきた、この手のナウい人たちが登場し出すと「もうスタンプ・ラリーもそろそろ終わりかなぁ…」と、ちょっとだけ感じましたね。とにかく、目の前の仮設住宅で今暮らしている人たちがいるんだから、少しは静かにしろよ!と思います。いい大人が、子どもと同じで、自分の欲望丸出しで生きててさ、なんで天はこういう奴らの頭の上に火山灰や石を降らせないのか?と憤っちゃいますね。

 

7月15日(土)
21.てっくいランド大成→25.ルート229元和台→19.あっさぶ→6.江差→H鴎島灯台→34.上ノ国もんじゅ→42.横綱の里ふくしま→41.しりうち→59.なとわ・えさん→G恵山岬灯台→60.つどーる・プラザ・さわら→23.YOU・遊・もり


 朝3時スタートの第2弾。コースは去年とほぼ変わらず。まあ、道南は「道の駅」の並びとか、道路網が決まりきまっている(新しいバイパスができるとか、そういう要素はほとんどない)とかで、いつもこのコースです。「灯台」が入っても、やっぱり変わらず、このコースなのね。朝の8時半に「てっくいランド大成」に着いていれば、あとは道なりでOKですぅ…という。
 「鴎島」、良かったです。時間があれば島のまわりの遊歩道を一周したかったな。ここ江差町と、隣町の「ルート229元和台」のある乙部町はオススメです。
 乙部町、いつもここを通ると「あーっ!」って思い出す。ここの海岸線、変わっているんですよ。正六角形の柱状節理がびっしり突き出た形の「鮪の岬(しびのさき)」とか、ドーヴァーみたいに白亜の断崖が続く「滝瀬海岸」とか。すごい景観が目白押しなんですけれど、まだまだ「道の駅」は先にいっぱいあって、ここでのんびり車を降りて散策している暇がない。で、「しょうがないな…、今度「道の駅」と関係なく、ここに遊びに来よう」となるんだけど、その内にね、日々の忙しさの中で町の名前忘れてしまうんですよ。で、翌年、ここを通るとまた思い出す、「あーっ!ここだ!」って。(笑) でも、今度こそ大丈夫。江差の鴎島とセットにして来ればいいじゃん。ついでに、大成町で大好物のヒラメの刺身を大皿にいっぱい食おう!(「てっくい」って魚の平目のことです) いつ行っても、天気はいいし、温泉はあるし、名水は出るし、なーんか、北海道の風雪の風土とはかけ離れた、瀬戸内の町みたいな印象です。
 「恵山(えさん)」もミシミシ白煙上げてましたね。(とにかく内浦湾=噴火湾のまわりは全部活発な火山活動です) ここの「恵山」は、津軽海峡を挟んで、下北半島の「恐山」と対になった霊場なのですが、久しぶりにそういうことを再認識させるようなド迫力でした。恵山灯台まで行って、ここで時間が余ったなら温泉に入ろうと思っていたのですが、全然、そんな余裕なかったです。道南はどうしても函館の街を通らなければならないコースになってしまうので、ここを抜けるのに思った以上に時間をくってしまうんですね。
 函館はなぁ…、一泊すれば、それなりに一日遊んで面白いところですけれど、小樽の人には一泊するほどのところかよという気持ちもありますね、やっぱり。微妙なところです。上磯で食べた塩ラーメンはうまかったけれど。まあ、今回は、テキパキとスタンプ済ませて、小樽に戻りました。

 さて、いよいよ道東の日々が近づいてきました。「羅臼(知床)」からの日帰りなんか、とうてい無理筋だと思うでしょう。でもね、去年走った感じでは、人が言うほど「不可能な」線ではないと私は思いましたです。
 
 

 
 
▼前回「NS2000年6月15日号(復刊No.1)」まで
 
5月19日(金)
40.ニセコビュープラザ→57.くろまつない→20.よってけ!島牧→I弁慶岬灯台→14.いわない→35.オスコイ!かもえない→J神威岬灯台→K積丹岬灯台→49.スペース・アップルよいち→L日和山灯台
5月27日(土)
M石狩灯台→17.サンフラワー北竜→45.田園の里雨竜→58.たきかわ→26.ハウスヤルビ奈井江→1.三笠→60.つるぬま
6月4日(日)
37.マオイの丘公園→38.樹海ロード日高→3.南ふらの→2.スタープラザ芦別→56.うたしないチロルの湯
 
 
 

 
2000年7月15日号 あとがき

■バット少年が秋田で見つかった。北海道へ行こうと思った…
失踪の三日目くらいからかな、「いや、凄い奴だなぁ」という想いで、この少年が気になってしまって、今頃どこを走っているのだろうとテレビのニュースの時間を待ち望む毎日でした。寺山修司の映画『サード』もそうだけど、なんというか、この手の、ヤクザの「ヒットマン」にでもなったら、さぞかし優秀な精巧無比な「ヒットマン」になっただろうなぁ…というタイプには心惹かれます。似たものがあるのかもしれない。「動機」の解明なんかより、少年の走った<北>へのコース、日々刻々を何をしていたのかを事細かに報道してほしいと切に望んだのですが、そんなセンスの良いテレビや新聞は皆無でした。

■発行が「6月15日」「7月15日」とたまたま重なってしまっただけで、別に(紙の『Northern songs』時代のように)「月刊」をめざしているわけではありません。書きたいことがあれば、もっと早いペースにして行こうと考えています。今、7月7日に札幌であった「北朝鮮に拉致された日本人を救出する北海道の会」の感想をまとめているところです。