○
実相寺一二三
白の菊くれなゐの菊黄の菊の中を行く子の朝寝髪はも
吾妹子が針の運びに思ひこめぬかたみの衣に涙す
秋の蝉じゝと音になく深山木の庵に
○
小高草影
ひとり居の窓に風吹きはら/\と落葉にまじり心散るかも
○
緑衣生
ふためきて君が跡追ひ
かぎりなき空のかげ
一すじの並木のみちの春雨に
ひと
●投稿歓迦……編輯局石川啄木宛
[小樽日報 明治四十年十一月一日・第十号]
※テキスト/石川啄木全集・第8巻(筑摩書房 昭和54年) 入力/新谷保人