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実相寺一二三(小樽)
時雨ふるゆふべ淋しし歌筆に草書したり思出の巻
山を見るみなみの窓にしら菊の花咲き出でぬひとり居の秋
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啄 木
かず知れぬくれなゐの鳥白の鳥君をかこめり花の散る時
はつ/\と
火の如き顔して歌ふ
相慣れて云ふこともなし
君を恋ひ君を得つるを恐ろしき
心今君をわするる
はなやかに物いふ人も手をとれば
たぐひなく冷たきものと君が名を呼びても見まし汗する日ゆゑ
(投稿歓迎……編輯局石川啄木宛)
[小樽日報 明治四十年十月二十六日・第四号]
※テキスト/石川啄木全集・第8巻(筑摩書房 昭和54年) 入力/新谷保人