岬めぐり2002
《小樽の街を歩こう・インターネット編 第15回/短大図書館だより2002年7・8月合併号》
 
 
 今年もスタンプラリーの夏がやって来ました。さあ今年はどんなコースで完全制覇をしようか!と、いろいろ楽しみに計画を立てている人も多いのではないでしょうか。
 
 
 でも、私は、今年はどうしようか?、まだ迷っているところです。
 
 昔は、ドライブの途中で気楽にスタンプ押していただけのものだったのですけれどね… 最近は、なぜかスタンプ・ポイントのどこもが慌ただしく、そして人がうるさい。
 じつは、去年のことなのですけれど、私、初めてスタンプの場所で、後ろの人から「どけ!」という感じで押し退けられました。スタンプ台の前でモタモタしているように見られたのでしょうか。若いアベックでしたけど、びっくりしましたよ。で、もう、こんな連中が出てくるようになったら、このブームもそろそろ終わりなのかなぁ…とも感じました。
 スタンプ帳を7冊も8冊も抱えてスタンプ台を延々と占領しているおばさん。スタンプ押したら、景色も建物も見ないで車の爆音鳴らして次のポイントへさっさと行ってしまう若い人。
 単なる旅の記念スタンプという持ち分を越えて、なにか「賞品かせぎ」「オタク・コレクター」のバトルレースのようなものへと意義が変化しつつあるのではないでしょうか…
 
 
 主催者側のエスカレートも近年目立ちます。単にスタンプを何個か集めればそれでよかったものが、だんだんとそうではなくなってきた。
 今、スタンプ台の上ではやることがいっぱいあるのです。スタンプ押したら、次はクイズに答えて、そのポイントにしかないマークをメモして、ケータイで指示を受け取って…とか、ほんとにうんざりするくらい。
 
 そんなこんなで、最近は、夏にスタンプラリーに出かけるのがちょっとうっとうしくなっていますね。
 それに、あんなに慌ただしい気持ちで車を運転するのはたいへん危険なことだとも思っています。ただでさえ運転マナーが悪いと言われている北海道のドライバー。わざわざ、そういう人たちが集まっているところへ自分も集まって行く必要があるのだろうか。
 「温泉」ブームもそうだし、「名水」ブームもそうだった。みんな、最後は、こういう馬鹿騒ぎしか知らない人たちが評判を聞きつけて集まってきて、混雑・渋滞のうちに意義を見失って下火になって行く…という、このパターン。ほんとに北海道独特のパターンです。
 
 
 北海道のスタンプラリーの中で、唯一、これはいいな…と思うのが「灯台スタンプラリー」です。景品も質素。ラリーのやり方も、灯台まで行ってそこでスタンプを押して帰ってくるという単純明解なもの。
 
 「灯台」という、普段の生活の中ではあまり意識したこともないものを集中的に見ることができるのは大きな楽しみです。また、「灯台」が建っているところは観光地のある場所とは微妙にちがいますから、そういう意味でも、新たな「北海道」発見の旅ともいえるでしょう。
 北海道の縁(へり)をずーっと辿って「北海道」一周の旅をしてみたい!と考えたことはありませんか? そんな人にお薦めのラリーです。北海道2002年の岬めぐり。岬の突端にぽつんと建つ灯台。灯台の向こうには、もう人間の気配はありません。これが究極の北海道の「縁」でしょう。
 
 日本の「灯台」を管理しているのは海上保安庁。北海道から九州・沖縄までいくつかの管区に別れていますが、北海道は「第一管区」海上保安庁になります。その「第一管区」の本部のある街が、じつは、この小樽なのです。
 北海道の「灯台」をネットワークしている街こそ、この小樽だったのです。その「第一管区海上保安庁」のホームページは、こちらです。
 
 
 写真は「灯台スタンプラリー」でもコースに入っている小樽の「日和山灯台」。この「日和山灯台」と石狩の「石狩灯台」は、どちらも、名作映画『喜びも悲しみも幾年月』に使われただけあって美しい灯台です。
 私は、これらふたつの赤白ツートンの「美形」灯台が石狩湾を挟んで向かい合って姿、とても面白く思っています。「日和山灯台」、昔は白一色の灯台だったそうですが、今の方が断然いい。
 白一色で美しい灯台というと、室蘭の「チキウ岬灯台」や江差の「鴎島灯台」を思い出します。
 また、タイプは異なりますが、網走の「能取岬灯台」はなかなか迫力のある灯台でした。岬の突端のパーッと開けた海と青空の中にドーンと白黒ツートンの突塔が建っている様はとても異様です。でも、なぜか長く記憶に残る灯台なんですね。
 
 灯台なんて、海辺に行けばどこにでもある、どこでも似たようなものだろう…と思っている人は多いと思います。でも、ちがうのですよ。学校に集まってくる子どものひとりひとりがちがうように、また、灯台も、その置かれた環境や担っている目的によって、それぞれが微妙にちがっているのです。そのすばらしい個性を味わってみませんか。まずは、祝津の日和山灯台へ!