後志の鉄人
《小樽の町を歩こう・第6回/短大図書館だより No.41》
 
 
 今年の夏、北海道の観光地の随所で、こういう冊子を持ち歩いている人たちを見かけなかったでしょうか?
                          
  
 これは、スタンプ・ラリーの「スタンプ帳」だったのです。
 
 最初のものは、北海道「道の駅」が主催した『道の駅スタンプラリー99』のスタンプ帳。全62カ所の道の駅スタンプを集めて人には「完全制覇」認定証が出ます。
 
 次のものは、後志支庁の各市町村と後志観光連盟が後援している『しりべし街道スタンプラリー』の1999年版スタンプ帳です。わが小樽市のスタンプ地点は、昨年に続いて「にしん御殿」でした。集めたスタンプの数によって、「後志チャレンジコース」から「後志エンジョイ」〜「後志の達人」コースと賞品のランキングも上がって行き、最高度の20ポイント以上で「後志の鉄人」コースの世界へ入って行きます。
 
 やはり、『道の駅』の方が全道対象で知名度も高いわけですが、いや、しかし、『しりべし』も負けているわけではありません。スタンプ・マニアたちの競争心や、後志地方の住人たちの郷土愛をそれとなくくすぐる細かなランキング、絶妙のネーミングの数々。(やっぱり、小樽の住人のプライドには、「後志チャレンジ」なんて恥ずかしいじゃないですか。どうしても「俺は達人だ!」「俺は鉄人だ!」と物事がエスカレートして行ってしまいます。)
 
 
 
 本の造りで見ても、『しりべし』の方が上でしたね。まず、写真や地図などの図版がきれいです。そして、特に今年は、今回から始まった「応募台紙」のアイデアがすばらしかった! スタンプを押して行く度に、自分のランキングが今どこまで来ているのか一目瞭然ですし、また、自分の辿ってきたコースもすぐわかる仕組みになっています。うーん、これを考えた人は頭がいい。(さすがは後志人だ!)応募してしまうのがもったいないくらいです。コピーをとって冊子に残しておきましょう。
 
 こういう冊子は、別に図書館の蔵書として受け入れられるわけではありません。図書館とも博物館とも市役所とも言えない、それぞれの守備範囲の隙間に落ちるテキサス・ヒットのような存在です。まあ、強いて言えば、1999年の小樽や後志の民俗を語る資料として郷土館のようなところで保存されるかもしれませんけれど。今年の夏、NHKの朝の連続ドラマ『すずらん』が話題を呼び、たくさんの写真集や絵葉書やテレカが作られた「明日萌(あしもい)」グッズなどもそうですが、「あの頃、町中のどこにでも溢れかえっていたのに…」といった運命をたどる風物資料のひとつになってゆくことでしょう。残念ですけれど。
 
 私も、せめてもの気持ちで(せっかく自分のホームページを開いたことでもあるし…)、ここに1999年のスタンプ・ラリーを記しておきます。あまり他人様には意味のないページと思いますが、1999年にはこんな人もいたんだ…と笑っていただければ幸いです。
 

7月11日(日)
7.望羊中山→33.フォーレスト276大滝→39.そうべつサムズ→40.ニセコビュープラザ→57.くろまつない→20.よってけ!島牧→14.いわない→35.オスコイ!かもえない→49.スペース・アップルよいち
 

7月17日(土)
50.ほっと・はぼろ→54.さるふつ公園→32.ピンネシリ→12.おといねっぷ→5.ぴふか→28.マリーンアイランド岡島→8.富士見→27.おびら鰊番屋→17.サンフラワー北竜→46.田園の里雨竜
 

7月25日(日)
55.森と湖の里ほろかない→48.とうま→26.ハウスヤルビ奈井江→1.三笠→37.マオイの丘公園→47.みたら室蘭
 

8月6日(金)
45.香りの里たきのうえ→29.おこっぺ→53.おうむ→22.オホーツク紋別→13.中湧別→52.愛ランド湧別→51.サロマ湖→24.おんねゆ温泉→15.まるせっぷ
 

8月10日(火)〜8月11日(水)
58.つるぬま→56.うたしないチロルの湯→2.スタープラザ芦別→3.南ふらの→38.樹海ロード日高→31.おとふけ→44.ピア21しほろ→10.足寄湖→4.しらぬか恋問→16.厚岸グルメパーク→斜里泊→61.知床・らうす→11.摩周温泉→30.阿寒丹頂の里
 

8月18日(水)
43.サラブレッドロード新冠→18.みついし→9.忠類→62.さらべつ→36.なかさつない→帯広泊
 

8月28日(土)〜8月29日(日)
21.てっくいランド大成→25.ルート229元和台→6.江差→19.あっさぶ→34.上ノ国もんじゅ→42.横綱の里ふくしま→41.しりうち→函館泊→59.なとわ・えさん→60.つどーる・プラザ・さわら→23.YOU・遊・もり
 
 
 
【自画自賛】
 1999年夏、全62カ所の「道の駅」スタンプ。全駅「完全制覇」を前提としているのは当然ですが、それ以外にも、1999年は、コースの美しさや、日帰りコースの中で一日にどれくらいスタンプがとれるか?みたいなところも意識していました。結果は、全62カ所のスタンプをとるのに、延べ日数で「9日」、一日平均のゲット・スタンプ数は「6.9個」、一日最多のスタンプ数は7月17日(土)と8月10日(火)の「10個」。
 一日最多が意外と少ない「10個」なのは、「全駅制覇」が前提条件として入っているからです。「全駅制覇」にこだわらなければ、小樽から手近の「道の駅」をどんどんつなげて行きっぱなしで夜の閉店時刻まで走り続ければいいんですけれど、なんか、そこまでやるのは頭が悪そうな感じがして…
 あと、深夜も外側にスタンプを置いて、いつでも押せるようになっている「道の駅」なんかもあるのですけれど、そういうものは使わない…というのもルールに入っています。必ず「開店時間」内に押すこと。北海道の「道の駅」の中には「定休日」を設けているところや、開店時間が昼近い「11時」なんてところもけっこうありますから、そういうものを全部考慮してコースを作っていました。
 1999年『しりべし街道スタンプラリー』については、上の「応募台紙」をご覧ください。