朝里川プレス
《小樽の町を歩こうD/図書館だより No.40 (1999.10)》
 
 
 小樽市の朝里(あさり)地区の『北海道新聞』には、週末になると『朝里川プレス』というミニ新聞がいっしょに入ってきます。地元の朝里川付近のニュースや郷土史の話題が満載。
 
 身近な事柄に詳しくなると、なにかしら、いつも歩いている通勤路や商店街の小道が目新しく感じられます。いつも乗っているバスから見えていた「石」が、「ああ、あれは並木凡平という歌人の石碑なんだ…」と変身します。ただの道ばたのお地蔵様だったものが、「お小夜・清吉地蔵」という名前を知った瞬間から、なにかとても親しみのあるものに思えてきます。「清吉って、どんな奴だったのだろう」とか。
 
 そんな『朝里川プレス』が一冊の本にまとまり、今、市内の書店で販売されています。小樽短大図書館にもさっそく入ってきました。新着コーナーに置いてありますのでご覧ください。
 
 小樽は歴史のある街ですから、日頃、街を歩いていると「この建物は何に使われていた建物なのだろうか?」とか、いろいろ不思議に思うことがよくあります。『朝里川プレス』だけじゃなくて、『手宮プレス』とか『塩谷プレス』とか、いろいろなプレスがあるといいですね。
 
 秋口、札樽道の「朝里インター」付近が珍しく大渋滞になる時期があります。これは、朝里川温泉から朝里ダム(オタルナイ湖)を経て定山渓温泉へと抜ける山道沿いの紅葉を楽しみたい人たちが一斉に「朝里インター」で降りようとすることから起こる現象なのですが、でも、そんな混雑も仕方がないかな…と思ってしまうくらい、この街道沿いの紅葉は美しい。
 
 この「定山渓温泉」の名付に跡を残している「定山和尚」もまた朝里に縁が深い人です。北海道の超有名人「松浦武四郎」がここを通った1856年(安政3年)から五年後の1861年(文久元年)、今度は「定山和尚」がここを訪れ、朝里村・張碓浜の網元の家に起居していたことをはじめてこの本で知りました。その昔、和尚もやはりここ朝里の紅葉を眺めていたのでしょうか。
 
 
『朝里再発見 歴史を訪ねて』 (北海道新聞中販売所)